姉の料理

姉の料理にはいい思い出がない。
彼女が結婚するまだまだうんと前、小学生のころの記憶である。
そんな昔の話、普通はもう時効であろう。

家庭科の調理実習だってろくろくやっていないくらいの年齢の話なのだから。
でも、私はそれを忘れはしない。

彼女が作ってくれたカルボナーラは、衝撃的にまずかったからだ。
あれ以来、私はトラウマでカルボナーラが好きではない。

いまだにどうやって作るのか、好きでないのでいまいち分かっていないのだが、どうやら卵と生クリーム(ホワイトソース?)でつくるような話を聞いた。
混ぜ合わせてソースにして、塩コショウで味を調える。
それをパスタに絡ませるのかどうなのか。
多分そんな感じだ。

追求すれば確実に奥の深い料理だが、簡単に作ろうと思えばそれなりに出来そうである。
洋風釜玉うどんのような感じだから。

でも、姉の作ったやつは、そんな次元を超えていた。
カルボナーラを超越したカルボナーラとでも言おうか。
とにかく、一口食べて具合が悪くなったのだからその破壊力たるや。
一体何を入れてどういう手順で作ったのか、いまだ謎のままである。

なんて、こんなことを言っても、それは姉に対して申し訳ないとか、そんなレベルの話ではないのである。
姉本人もあのカルボナーラがきっかけで、カルボナーラ嫌いになったのだから。

それ以来、姉の料理というと身構えるようになってしまって今に至る。
現在はすっかり母親業をしている彼女なので、人並みに料理もできるようになっているはずだが、幼い頃の刷り込みの記憶と言うのはそう簡単に払拭できないものなのである。

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