言わなくて良かった一言
人と会話しているときに「この会話に区切りが出来たらあのこと話そう」と頭に浮かんだことに関して、「言わなくて良かった〜〜!」と後からほっとすることが良くあります。
奥様の近況を伺おうと思ったら会話の中でお亡くなりになったことを知ったり、仕事のことを伺おうとしたらその方の前の会社が倒産していたり…。
頭で考えずに口に出していたら、とても気まずい雰囲気になっていただろうと思うとゾッとします。
このような経験が良くあるので、特に目上の方と接する際には、自分の頭の中に一度会話を通してから質問するよう心がけている。
こちらはまだ口に出していないことなので、「言わなくて良かった!」と冷や汗をダラダラとかいていることを相手は知らない。
だが、こちらとしては仕事相手ならば死活問題に関わることだし、軽々しく雑談しようと思うのは自分にはまだ危険すぎると言い聞かせている。
自分のことだけでなく、人をみていても「あー。その一言言っちゃうかー。」と思うことがある。
それは禁句なんだけど…と思っても、もう口を開けて言葉を発しだしたんだから止めることはできない。
いわゆる空気が読めない状態の人にどのように合図して、「今すぐにその会話内容をやめろ!」と教えたくなるのだが、そこは禁句を言っちゃう空気の読めない君だから、べらべらと話し出してしまうだ。
たまに友達や同僚と「言わなくて良かった一言」について意見を出し合う。
意見というか情報を共有する。
ここまでしなければ機嫌を損ねる人がいるので、気を付けなくては!
傷付けられること傷付けること
人から傷付けられることも、人を傷付けることも怖いんだ。
過去にそんな風に真剣な顔で話した人がいました。
私よりも10歳近く上の人でしたが、当時の私にはその言葉の意味がよく分かっていませんでした。
確かに人から傷付けられるのは、誰だって嫌だし怖いこと。
よく分かります。
しかし、人を傷つけてしまうことの怖さについては、まだ子供だったであろう私にはしっかり理解することはできませんでした。
そしてそれからだいぶ経った現在、その言葉の意味を噛みしめているところです。
知らず知らずの内に、誰かを傷つけてしまうのではないかという不安が、いつも心の隅にあるのです。
きっとあの時、あの人はこのことを言っていたのでしょう。
人から傷付けられることも人を傷つけてしまうことも、同じように怖くて辛いことなのです。
子供頃は、そんなところにまで気が回ることはあまりないのかもしれません。
ですから、悪気なく口にした言葉が誰かの胸に刺さってしまうこともあります。
大人でさえそれに気が付かずに、どこでも不快になる言葉を発する人もいる世の中、子供がそうであっても私は責めることはできないと思っています。
ただ、何十年も経った後に昔を思い出して、誰かを傷つけてしまった自分の傷に苦しまなければ良いなと思います。
あの人も、もしかしたら過去に誰かを悪気なく傷付けてしまったことがあったのかもしれません。
その傷に、長く苦しめられていたのでしょうか。
当時に戻って、あの人に一言伝えることができたらどんなに良いでしょう。
「あなただけじゃない。私もあなたと同じなんだよ」と。