禁煙の波
最近は喫煙者の肩身が、どんどん狭くなってきている。
もううんと昔から続いているたばこの文化というものが、否定され撲滅されようとしているのは、これも時代の流れだと思わざるを得ない。
確かに健康にいいことなんて、何一つないのだから。
格好つけられるという一点を除いては、百害あって一利なしと言われても仕方ないような気もする。
でも、そういう動きが活発化して、国や都市などの自治体を挙げて行動するようになったのは、本当にごくごく最近のことである。
だって、つい数年前までは、駅のホームでたばこを吸えたのだから。
そのころでもまあ、ホームのうんと端の端のほうに、ぽつんと灰皿ゴミ箱が置かれているという状況だったが。
それでも、もっとさかのぼると、電車の中でたばこを吸うおっちゃんたちがいた時代もあったのだ。
私の親くらいの世代の人は、SLも知っているし、電車内の喫煙も見て知っている。
なんだかものすごい時代もあったものだと思う。
なんてことに思いを馳せたきっかけは、私が電車を待っていたときのこと。
ホームの端にくる車両が空いているので、いつも端っこまで行く。
端っこにくるのは、15両編成の電車だ。
10両編成のやつは、ホームの真ん中くらいまでしかこない、短いから。
私はいつものように15両の端っこで待っていたが、来たのは10両編成だった。
わざわざ端っこまで来て待っていたのに、急いでホームの真ん中まで引き返すのは、みすみす「私間違えました」と言っているみたいで恥ずかしい。
ああ、ここに前みたいに喫煙所があったなら、「私たばこ吸って時間潰してたんです」のふりができたのになあ、と思った、という、そんなどうでもいい話だ。