サングラスが欲しい
今年こそはサングラスが欲しい。
というか、欲しかった。
買わないまま、今年も夏が終わった。
なぜサングラスが欲しかったかというと、お洒落のため、という訳ではない。
ある日知人から、シミは目から入った紫外線が蓄積してできたものだと、聞きたくもないのに教えられたからだ。
それから日差しの強い日に外に出るたび、今私はシミのもとを着々と目から取り込んでいる、と思うようになってしまった。
このシミのもとをシャットアウトするためには、サングラスしかない。
ということで、今年こそはサングラスを購入せねばと思っていたのだった。
デパートやめがね屋さんに立ち寄ったときに、片っ端からサングラスを試してみた。
どうせだったら、いかしたやつがいい、と思ったのだった。
片っ端から試したは試したのだが、片っ端から似合わなかった。
どれをかけても、どこぞの国から来た観光客のような、もしくは偽セレブのような雰囲気になるのである。
これではいくらシミのもとの為とはいえ、あんまりにも雰囲気がよくない。
せめて、バカンスに海外を訪れた、日本人観光客くらいの雰囲気はかもし出したいものだ。
そう思って、折に触れ試着トライをずっと続けていた。
すると、先日ついに出会ったのだ。
どんぴしゃで似合う一品に。
というか、お店のスタッフのおねえさんに乗せられてその気になっただけなのだが。
その販売のおねえさんは、「今までのお客様の中で、こんなに似合う方は初めてです」という殺し文句をいきなり吐いた。
今まで数々のサングラスを試して玉砕してきた私は、そんなかりそめの言葉にまんまとやられた。
もう絶対これ買う、と思った。
すると、たまたま一緒に来ていた知人が言った。
「もう夏終わったよ」と。
私は、そっとそのサングラスを外し、元の場所に戻した。